相続税について!ご自分が相続税の課税対象なのかをわかりやすく解説!

相続税対策ガイド

こんにちは、「相続税対策ガイド」のコラムを執筆する司法書士の久我山左近です。

相続が発生した場合に、読者の皆様が1番に知りたいと思うことは、ご自身の相続で相続税が課税されるかどうかということではないでしょうか?また、すでに相続が起きている場合でも相続人の方々にとって相続税が課税されるかどうかが1番知りたいことだと思います。

今回のコラムは、相続税に関する基本的な知識について、またご自身が相続税の課税対象になるのかということについて相続税に詳しい久我山左近がわかりやすく解説いたします。

ぜひ、今回の記事を読んでいただき、相続税に関しての基本的な知識を身に付けていただきたいと思います。

目次

相続税とは?1番知りたいことは相続で相続税の納税が必要かどうか?

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以前は相続税の基礎控除が大きく相続税が課税されるケースはそれほど多くなかったので、相続税の納付は一握りの価値ある相続財産を所有している方のみにしか縁のないことでした。

しかし、2015年の相続税の制度改正により、それまで4%強ぐらいであった相続税を納税する率が約2倍の8%程度まで上昇して相続税の納税が必要になる方がとても多くなっています。

ある程度の相続財産を所有している方にとって、相続によって「相続税が課税される対象なのか?」「もし相続税が課税されるケースではどれくらいの相続税の納税が必要なのか?」といったことが気になっている読者の方も多いと思われます。

今回のコラムでは、いざという時のために知っておきたい最低限の相続税の基本的な知識について解説をいたします。

相続税がかかるかどうか?その分かれ目は基礎控除の金額によります!

相続税を納税する必要があるかどうかは、相続税の課税対象である相続財産の価値が相続税の「基礎控除」の金額を上回った場合に、その上回った分に対して相続税が課税されることになります。

相続税の基礎控除の計算式は、3000万円600万円×法定相続人の数によって算定されます。

ここで1つの例を挙げますと、仮に夫が亡くなった場合に妻と子供2人の合計3人が法定相続人であれば、基礎控除は上記の計算式を基に「3,000万円600万円×3人4,800万円」となります。このケースでは相続財産の合計が4,800万円を超えると相続税が課税される可能性があります。ただし、実際のケースでは「配偶者控除」や「小規模宅地等の評価減の特例」などが適用されますので相続税が課税されないこともあります。

もう1つ例を挙げますと亡くなった方の相続財産が自宅の不動産(相続税の評価額が5,000万円)と預貯金が1,000万円の合計で6,000万円の相続財産がある場合だと基礎控除の4,800万円を超えた金額の1,200万円が相続税の課税対象となり、納税する相続税額は単純計算の合計で約60万円となります。

ここでは、相続税の基礎控除についての基本的な知識である「3000万円+600万円×法定相続人の数」をしっかりと覚えておきましょう!

相続税が課税される分岐点は理解できたと思いますので、ここからは基礎控除以外の相続税での控除について解説をいたします。

「配偶者控除」と「小規模宅地等の特例」を解説いたします。

基礎控除を除いて相続税がかかる場合でも実際のケースでは「配偶者控除」や「小規模宅地等の評価減の特例」などが適用されますので相続税が課税されないこともあります。ここからは、配偶者控除と小規模宅地等の特例についてわかりやすく解説いたします。

相続税の配偶者控除は、次の相続も考慮して検討する必要があります。

相続税の配偶者控除とは、配偶者が相続した相続財産のうちで課税対象となる金額が1億6,000万円までであれば、配偶者には相続税が課税されない制度です。 また、配偶者控除では相続財産が1億6,000万円を超えた場合でも配偶者の法定相続分までであれば、配偶者には相続税が課税されません。

配偶者控除の制度の趣旨は、亡くなった方(被相続人)が相続財産を築き上げられたことには配偶者の貢献があったと考えられることが1つ目の理由です。また、相続財産を所有している方(被相続人)が亡くなった後の配偶者の生活を保障する必要があることが2つ目の理由になります。

この相続税の配偶者控除を受けるためには、相続税の申告の期限までに相続税の申告書に相続税の配偶者控除の適用を受ける旨とその計算についての明細を記載して相続税の申告期限内に提出する必要があります。

配偶者控除については、目先の減税だけにとらわれて利用してしまうと、最終的に相続税の納税額が増えてしまう場合がありますので、次の二次相続も含めてトータルで配偶者控除を利用した方がいいのかを検討する必要があります。

小規模宅地等の特例で、相続した土地の相続税を最大で80%減額!

相続税の小規模宅地等の特例とは、亡くなった人(被相続人)が住んでいた土地、事業をしていた土地、貸していた土地について、一定の要件を満たす相続人が土地を相続したときに最大で相続税を80%減額できる特例になります。

相続税の小規模宅地等の特例は、一定の要件を満たしたときにその宅地の評価額を最大で80%も減額できる、かなり破壊力のある相続税の減額が可能な特例になります。相続税の小規模宅地等の特例は、これだけ大きな相続税の減額の割合になりますので、適用の要件がとても厳しく、また要件も複雑にもなっています。

相続税の小規模宅地等の特例が創設された背景は、亡くなった人(被相続人)が住んでいた土地や事業をしていた土地について、そのすべてに相続税が全額かかってしまうと、相続人にとっては酷な状況に追い込まれることになりますので、そうならないために相続税の小規模宅地等の特例という制度が施行されました。

相続税の小規模宅地等の特例のメリットは、とにかく引き継いだ土地にかかる相続税を大きく抑えることが可能なことです。例を挙げますと、相続での財産としての評価が1億円の土地について、相続税の小規模宅地等の特例を利用できなければ3,000万円の相続税が課税されると仮定します。しかし、このケースで相続税の小規模宅地等の特例を利用することができれば、相続税は600万円まで抑えることができますので、相続で相続人が引き継ぐ土地の価値は変わらないのに相続税を大きく抑えることができるのが相続税の小規模宅地等の特例の最大のメリットになります。

相続税の小規模宅地等の特例には、亡くなった方(被相続人)が住んでいた土地、事業をしていた土地、貸していた土地とうように大きく分けて3種類があります。それでは種類ごとに要件について解説をしていきます。

相続税の特定居住用宅地等の適用条件を解説します。

相続税の特定居住用宅地等の対象となる大前提は、亡くなった人(被相続人)または亡くなった人と同じ生計の親族が住んでいた土地でなければなりません。

まず、亡くなった人(被相続人)が住んでいたかどうかについては、判断することなどがないと思うかもしれませんが意外と判断に迷うケースがあります。
まず1つ目は、亡くなった人(被相続人)が老人ホームなどの介護施設に入居していたケースがあります。一般的に相続税が課税される人が亡くなった場合に生前に老人ホームなどの介護施設に入居しているケースはかなり多くあると思います。亡くなった人(被相続人)が老人ホームなどの介護施設に入居していた場合でも、亡くなった人(被相続人)が要介護の認定を受けていた場合などの要件を満たしているケースだと、もともと住んでいた土地を亡くなった人(被相続人)が住んでいたものとして扱うことができます。
また、亡くなった人(被相続人)が住んでいた土地の上の建物の名義は、必ずしも亡くなった人の名義である必要はありません。建物の所有者が親族であれば特定居住用宅地等に該当いたします。

次の要件は、亡くなった人(被相続人)と生計を共にする親族が住んでいた土地だということです。生計を共にする親族とは、簡単に言うと亡くなった人と同じ財布で生活していた親族のことをいいます。
一般的に同居していれば問題ありませんが、今回の規定で考えるべきことは、亡くなった人と生計を共にしながら、しかし別居していた親族が住んでいた土地についてはどうなるのでしょうか?
ここで考えられるパターンとしては、親は東京に住んでいるものの、その子供が大阪の大学に行くために親が所有する大阪のマンションに住んでいて、親からの仕送りを受けて生活していた場合です。このときに親が亡くなった場合には息子が住んでいた大阪のマンションは、特定居住用宅地等に該当いたします。

次のチェックポイントは、「亡くなった方(被相続人)が住んでいた土地」について、その土地の取得者が誰か?ということになります。
前述の要件を満たす土地の取得者は、配偶者、同居親族のみになります。内縁の妻といった婚姻関係のない人は該当しません。

生計を共にする親族は当然ですが、そこに住んでもいなくても亡くなった人(被相続人)の配偶者が取得したと場合には、特定居住用宅地等に該当いたします。ただし、生計を共にする親族に関しては取得した土地を相続税の申告期限まで所有し続けたり居住し続けたりする必要があります。

相続税の小規模宅地の特例には、適用できる限度となる面積や減額割合があります。
住むための土地(特定居住用宅地等)の限度面積は330平方メートルで相続税の減額割合は80%になります。

特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等の適用条件の解説です。

特定事業用宅地等」は、亡くなった人(被相続人)やその生計を共にする親族が事業をしていた土地について、一定の要件を満たした場合に小規模宅地等の特例の適用ができるケースをいいます。

この場合の事業とは、税法上の所得税における事業所得となるような事業のことを指します。美容室やレストランなど、一般的にいう「自分の店」を所有しているケースをイメージすると理解しやすいと思います。

今回の特例の注意点としては、亡くなった人(被相続人)の事業と同じ事業を相続税の申告期限までは継続する必要がある点になります。また、特定事業用宅地等のもう1つの種類として、「特定同族会社事業用宅地等」という区分もあります。これは亡くなった人(被相続人)の同族会社の事業の敷地にも小規模宅地等の特例が適用できるというものです。特定事業用宅地等の限度面積が40平方メートルで減額割合は80%になります。

貸付事業用宅地等の適用条件の解説です。

亡くなった人(被相続人)やその生計を共にする親族が貸し付けをしていた土地についても、小規模宅地等の特例が可能です。これを「貸付事業用宅地等」といいます。

代表的な貸付事業用宅地等は、賃貸アパートの敷地や最近よく見かける貸駐車場です。一般的に貸付事業用宅地等で論点となるのが相当の対価で貸し付けをしているかという点になります。例えば、親族に一般的な価格と比較して低額で貸していた土地については、小規模宅地等の特例が適用できない可能性があります。

賃貸アパートについては空室が多い場合も、税務署との争いになることが多くなります。亡くなったときに賃貸アパートが空室であっても、ちゃんと募集を続けて、ある程度短い期間で次の入居者が決まるようであれば貸付事業用宅地等の要件を満たしていると考えて問題ありません。

貸付事業用宅地等の要件については、平成30年度に大きな改正があり、この制度を利用した過度の相続税の納税回避を防止する目的で改正されました。その内容は亡くなる前の3年以内に貸し付けた土地については、貸付事業用宅地等に該当しなくなりました。また、貸付事業用宅地等の限度面積は200平方メートルで減額割合は50%になります。

ここまでが相続した土地の相続税を最大で80%減額できる小規模宅地等の特例の基本的な解説です!

どうでしょう、相続税についての理解が深まりましたでしょうか?

当コラムを運営する「相続税対策ガイド」では、相続税の納税や相続税の節税対策に関するお悩みを無料でご相談することができます。ぜひ、お気軽に当事務所の無料相談を利用していただきご自身の相続でのお悩みを解決していただきたいと思います。

ここまでで、今回のコラム「相続税について!ご自分が相続税の課税対象なのかをわかりやすく解説!」のテーマの解説は以上になります。

それでは、久我山左近でした。

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